GUIDE 04

紹介と付き合いをどう扱うか

病院・葬儀社・寺院・互助会。断ることより「依頼する範囲を限定すること」。

ホーム費用のガイド紹介と付き合い

最初に、正直に書いておきます

「病院と葬儀社の間に紹介手数料がある」——これを事実として断定することはできません

紹介手数料やバックマージンの存在を説明する記事は多くあります。しかし調べた範囲では、それを裏づける公的な資料は見つかりませんでした。公正取引委員会が2017年に出した「葬儀の取引に関する実態調査報告書」も確認しましたが、これは事業者間の取引(下請取引)に関する調査で、病院紹介についての記述はありません。

ですのでこのサイトは、「紹介=悪」とは書きません。紹介そのものは、急いでいる遺族にとって助けになることもあります。

大事なのはそこではありません。紹介手数料があってもなくても、遺族が選択肢を持っているかどうかで結果は変わります。このページはその方法だけを書きます。

出典:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態調査報告書」平成29年3月22日(病院紹介に関する記述がないことを確認)

場面1|病院・施設で葬儀社を紹介された(逝去〜3時間)

ここが最も重要な分岐点です。公表されている相談事例3件は、いずれもこの段階で選択肢が狭まっています。

知っておくべき3つの事実

  1. 搬送を依頼することは、葬儀を契約することではありません。紹介を断ることも、搬送だけを依頼することもできます。
  2. 亡くなってから24時間を経過した後でなければ火葬はできません(墓地埋葬法3条)。つまりどんな場合でも安置の時間は必ず発生します。「すぐに決めないと」という前提そのものが、実は正しくありません。
  3. 急ぐ必要があるのは「搬送先」だけです。葬儀の形式・規模・プランは、親族が揃ってから決められます。

そのまま使える言い回し

「ご紹介ありがとうございます。家族で相談して決めることにしていますので、こちらで手配します。
「お気遣いありがとうございます。お願いする葬儀社が決まっておりますので、そちらに連絡します。
「ありがとうございます。まず親族に連絡してから決めさせてください。搬送先が決まり次第ご連絡します。」
霊安室にはいつ頃までお願いできますか。その時間までに搬送先を決めます。」

★搬送を頼むときは、範囲を先に限定する

これがいちばん費用対効果の高い一言です。公表されている相談事例では、キャンセルを申し出たところ「葬儀をしないのであれば搬送費用として20万円を請求する」と言われたケースがあります。同じ事例で、その葬儀社の広告自体には「お打ち合わせのうえ、ご依頼いただけない場合は搬送にかかった費用はいただきません」と書かれていたことが後から分かっています。

まず搬送と安置だけをお願いできますか。葬儀の形式は、親族が揃ってから相談して決めます。」
葬儀を別の会社にお願いすることになった場合、搬送と安置の費用はいくらになりますか。書面でいただけますか。
「搬送費は、基本料金・距離・深夜早朝の割増・有料道路代を分けて教えていただけますか。」
安置は1日あたりいくらで、ドライアイスは別ですか。面会はできますか。」
搬送だけのご対応が難しい場合は、その旨を教えてください。別の方法を検討します。」

搬送先は、自宅・葬儀社の安置室・民間の安置施設から選べます。費用と、面会できるかどうかの両面で選んでください。

場面2|葬儀社との契約(相見積もりと、急かされたとき)

すでに搬送済みでも、相見積もりは取れます

「もう運んでもらったから、今さら他社には頼めない」と考える必要はありません。比較するために必要なのは、同じ条件を書いたメモ1枚です。

相見積もり用に揃える「同一条件」

  • 形式(火葬式/一日葬/家族葬/一般葬)
  • 参列予定の人数
  • 式場を使うか(使うならどこか)
  • 安置日数(=火葬場の空き状況で決まる)
  • 宗教者を呼ぶか
  • 火葬場(公営か民営か/住民料金が使えるか)

この6つを揃えて渡せば、各社の見積を横に並べて比べられます。揃えないまま取ると、含まれるものが違って比較になりません。

他社さんにも同じ条件で見積もりをお願いしています。同じ条件で出していただけますか。」

急かされたとき・持ち帰りたいとき

見積書を書面でいただけますか。親族に見せてから、◯時までにお返事します。」
火葬までにはまだ時間がありますので、内容を確認してから決めさせてください。
もう一人来られるまで待っていただけますか。

国民生活センターも「葬儀社との打ち合わせは親族や第三者など複数で行いましょう」としています。一人だと聞き漏らしや確認不足が起きやすいためです。これは公的機関のアドバイスなので、遠慮せずに使えます。

グレードアップを勧められたとき

祭壇・棺・骨壺のグレードは、その場で決めを迫られやすい項目です。断るのも、後で上げるのも、どちらもできます。

まずは基本のままでお願いします。
料理と返礼品の数量は、いつまでに決めればよいですか。人数が固まってから確定させたいです。」

場面3|菩提寺・宗教者との付き合い

ここは「回避する」ものではありません

お布施は本来サービスの対価ではなく、定価が存在しないものとされています(国税庁も「実質的な喜捨金」として消費税不課税と整理)。このサイトは金額の高い・低いを判断しません。

そして実務的に言うと、菩提寺との関係は「避ける」より「先に相談する」ほうが、結果的に時間もお金もかかりません。

★菩提寺があるなら、日程と形式を決める前に連絡する

菩提寺に連絡せずに別の経路で僧侶を手配すると、後で納骨を受け入れてもらえない、戒名を付け直すことになり二重の負担になる——といった事態が起こりうると、複数の寺院・事業者が注意喚起しています。

日程と形式を決める前にご相談したく、お電話しました。
この形式で葬儀を行った場合、納骨は受け入れていただけますでしょうか。
戒名はご住職にお願いしたいのですが、いつまでにご相談すればよいでしょうか。

遠方で来ていただくのが難しい場合

そちらまで伺うのが難しい状況です。お越しいただくことは可能でしょうか。難しい場合、近くの同じ宗派のご寺院をご紹介いただけますでしょうか。

この頼み方なら、菩提寺との関係を保ったまま現実的な形を探せます。

菩提寺がない場合

定額の僧侶手配サービスがあり、価格が公表されています(火葬式35,000円〜/一日葬65,000円〜/家族葬140,000円〜、戒名は別途など。相場のページに一覧があります)。利用する場合は表示価格に何が含まれ、何が追加になるか(移動費・法要の追加・戒名など)を確認してください。

確認するのは金額ではなく手続き

  • 見積書で、宗教者へのお礼が葬儀社の料金に含まれるのか、別途なのか
  • 読経に対するもの・戒名(法名・法号)に対するもの・御車代・御膳料の、どれが必要か
  • 御車代・御膳料は送迎を手配したか・会食に参加するかで要否が変わる
  • 支払う相手・タイミング・現金かどうか
  • 葬儀後の法要(初七日・四十九日など)や納骨で別途の支出が生じるか

なお戒名の位号(信士・居士など)はすべての宗派に共通ではありません。浄土真宗では「法名」を用い位号は用いず、日蓮宗では「法号」です。神式・キリスト教式ではそもそも費目の考え方が異なります。

出典:国税庁 質疑応答事例「お布施、戒名料、玉串料等」/国民生活センター/浄土真宗の寺院公式サイト/各手配サービスの公表価格(2026-08-04確認)

場面4|互助会・町内会・勤務先

互助会に入っているが、別の葬儀社に頼みたい

互助会は割賦販売法の「前払式特定取引」として経済産業大臣の許可を受けて営まれる事業です。掛金が充当されるのは約款で定められた役務・物品だけで、式場使用料・飲食・返礼品・火葬料金・お布施は原則として対象外です。

加入中の契約を、別の葬儀社で行う葬儀に充てることはできますか。できない場合、解約と名義変更のどちらが選べますか。それぞれの手続きと返戻金の扱いを教えてください。」

解約手数料については裁判例の結論が分かれています(消費者側の主張が認められた高裁判決と、事業者側が認められた高裁判決の双方が確定)。ですので「解約手数料は無効だ」とは言えません。できるのは約款に書かれた計算どおりの金額かを確認し、差があれば内訳の説明を求めることです。納得できなければ188へ。

勤務先・団体に指定の葬儀社がある場合

慶弔規程で、弔慰金の支給条件と、提携葬儀社の割引の有無を教えていただけますか。

健康保険組合には独自の上乗せ給付(付加給付)がある場合があります。規約を確認する価値があります。

町内会・自治会の慣習

こちらの地域では、受付や飲食のご準備をお願いする慣習がありますでしょうか。

地域によっては、世話役や組内で受付・飲食の手配を担う慣行があります。これは費用にも影響します(人手が確保できれば外注が減る一方、返礼の慣習がある地域もあります)。事前に聞いておくと、後で慌てません。

中立の入口を1つ持っておく

市民葬・区民葬(規格葬儀)

多くの自治体に、あらかじめ価格が取り決められた葬儀の制度があります。紹介された葬儀社の見積を判断するときの、中立な物差しになります。

ただし限界が3つあります。①価格が定まるのは祭壇・霊柩車・火葬料・骨つぼなど限られた品目だけ総額が安くなるとは限らない ②申し込みは死亡届を出すときが典型で、葬儀社を決めた後では間に合わない場合がある ③申し込み先は自治体ではなく「取扱指定店」に直接

→ 料金例は「費用を抑える方法」の4番

消費者ホットライン「188」(いやや)

お住まいの地域の消費生活センターにつながります。年末年始を除き原則毎日、相談は無料(通話料は自己負担)。契約や請求で納得できないことがあれば、支払う前に相談できます。経済的に余裕がない場合は法テラスの無料法律相談も(収入・資産の要件あり)。

次にすること

  1. まだ搬送前なら——「搬送と安置だけ」に依頼範囲を限定し、葬儀を別社に頼む場合の搬送費を書面で確認する
  2. 菩提寺があるなら——日程と形式を決める前に、一度電話する
  3. 互助会に入っているなら——掛金が何に充当されるかと、別社で使えるかを確認する
  4. 比較したいなら——同一条件の6項目を書いたメモを作って、複数社に同じものを渡す
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