GUIDE 02

立派に送りたい。でも言いなりにはなりたくない

「削る」のではなく「かける場所を自分で決める」という考え方。

ホーム費用のガイド立派に送る/言いなりにならない

「言いなりになる」のは、選択肢の見せられ方に理由があります

打ち合わせの場では、多くの選択が「上のグレードにするか/このままにするか」という1本の軸で提示されます。この軸だけで考えると、上げれば予算が心配になり、下げれば「これでよかったのか」と迷う。どちらを選んでも納得しにくい構造です。

本当は「上げる/下げる」ではなく「どこに集中させるか」の問題です

葬儀の費用は、性質の違うものが混ざった合計です。そしてそのうちのいくつかは、いくらお金をかけても「立派さ」には結びつきません。逆に、そこを最適化して浮いた分を別の場所に回せば、同じ総額でも中身は変わります。

これは節約の話ではなく、配分の話です。

費用を3つの性質に分けてみる

見積の行を、次の3つに仕分けてみてください。

性質あてはまる費目お金をかけると何が変わるか
① 場の見え方に直結する 祭壇、生花、式場、遺影、会葬礼状、飲食、返礼品 参列した人の目に見える。かけた分だけ、その場の印象は変わります
② 故人と遺族の時間に関わる 棺、納棺・湯灌、安置場所(面会できるか)、付添い安置、お別れの時間 参列者にはあまり見えないが、遺族の記憶には残ります。後から取り返せない部分でもあります
③ 手続き上必要なだけ 寝台車・霊柩車、ドライアイス、安置日数、火葬料金、書類手続き、スタッフ人件費 ここにいくらかけても「立派さ」は上がりません。必要だから発生しているだけです

この分け方が効く理由

③は「必要だから払う」費用であって、金額と満足度が結びつきません。にもかかわらず、③には自分で選べる余地が意外に残っています。

  • 火葬料金——公営か民営か、住民料金が使えるかで数万〜十数万円変わります。しかもこれは葬儀社が決める金額ではありません
  • 搬送距離——プランに含まれる距離(10km/20km/30kmなど事業者で違う)を超えると加算されます
  • 安置日数——★これは火葬場の空き状況で決まるので、遺族には選べません。できるのは「何日を超えたら1日いくらか」を先に知っておくことだけです

つまり、③のうち選べるところを最適化して、①②に回す——これが「立派にやりつつ、言いなりにならない」の実体です。

→ ③の最適化の具体的な方法は「費用を抑える方法」へ

①②の中で、何を優先するか

ここから先は正解のない部分です。ただ、判断材料になる事実がいくつかあります。

参列者数を増やすことが、必ずしも負担増とは限りません

参列者が増えれば、飲食(通夜ぶるまい1人前3,300円〜、精進落とし1人前5,500円〜)と返礼品(1個1,100円〜)、会葬礼状が人数分だけ増えます。ここだけ見ると「家族葬のほうが負担が軽い」と考えたくなります。

ただし参列者からは香典を受け取ることが一般的です。つまり支出だけでなく収入も動きます。「小さくすれば必ず持ち出しが減る」とは限りません。

※ 香典の額や、それが費用をどの程度まかなうかは、地域・関係性・宗教によって大きく変わります。信頼できる全国的な統計をこのサイトでは確認できていないため、金額の目安は示しません。ただし「参列者を減らす=必ず得」という単純な話ではない、という点は押さえておいてください。

むしろ参列者数は、費用ではなく「誰に知らせるか」で決めるほうが後悔が少ないと言えます。知らせなかったことを後から悔やむケースも、逆に対応に追われて疲れきるケースもあるからです。

後から取り返せないものを優先する

祭壇の段数は、その日の見え方の話です。一方で、ご遺体と過ごす時間や、納棺の丁寧さは、後日やり直せません。予算に制約があるとき、②を先に確保して①を調整する——という順番は、一つの現実的な考え方です。

なお、安置場所によっては面会できるかどうかが変わります。自宅・葬儀社の安置室・民間の安置施設で扱いが違うので、費用だけでなく「会えるかどうか」も一緒に確認してください。付添い安置(泊まり込み)は別料金(1日66,000円という実例)になることがあります。

遺影は「標準額まで」のことが多い

遺影はセットに含まれるのが一般的ですが、「遺影写真(標準額)」という形で上限が設定されている例があります。標準額を超える仕上げを選べば差額が出ます。ここは比較的少額で満足度が変わりやすい項目なので、上限がいくらかを聞いておく価値があります。

グレードを勧められたときの決め方

その場で決めない。これだけで十分です

祭壇・棺・骨壺のグレードは、打ち合わせの場で決めを迫られやすい項目です。上げるのも下げるのも、持ち帰って相談できます。

国民生活センターも「葬儀社との打ち合わせは親族や第三者など複数で行いましょう」としています。これは公的機関のアドバイスなので、遠慮せずに使えます。

まずは基本のままでお願いします。
もう一人来られるまで待っていただけますか。
火葬までにはまだ時間がありますので、内容を確認してから決めさせてください。
「グレード別の価格表を、選ぶ前に一覧で見せていただけますか。

最後の一言は特に効きます。公表されている相談事例には、棺や祭壇のグレード別価格表を提示されないまま選択を迫られたというものがあります。一覧で見れば、比較して選べます。

数量が決まるものは、最後まで確定させない

飲食と返礼品は人数×単価なので、参列者数が固まってから確定させれば、実際の人数に合わせられます。

料理と返礼品の数量は、いつまでに決めればよいですか。人数が固まってから確定させたいです。」

「立派にやりたい」と伝えることは、言いなりになることではありません

予算を抑えたいときに「安くしてください」と言うのは気が引ける、という声はよく聞きます。でも実際に必要なのは、安くしてもらうことではなく、内訳を見せてもらうことです。

言い方を変えるだけで、伝わり方が変わります

「安くしてください」ではなく——

ここは大事にしたいので、しっかりお願いします。そのぶん、この部分は基本のままで結構です。
このプランに含まれていない項目と、それぞれの別料金を教えてください。」
式場使用料はいくらまで/安置は何日分/搬送は何kmまで/会葬礼状は何枚までが含まれますか。超えた場合は1つあたりいくらですか。」

これは値切りではなく、配分の希望を伝えることです。担当者にとっても、そのほうが提案しやすくなります。

次にすること

  1. 見積の行を①②③に仕分けてみる(③にいくら入っているかを見る)
  2. ③のうち選べるところを確認する——火葬場(公営/住民料金)、搬送距離、上限つき内包
  3. 浮いた分をどこに回すかを、親族と決める
  4. グレードはその場で決めず、一覧をもらって持ち帰る
見積の内訳を入れて、区分ごとの配分を見る ③を最適化する具体的な方法を読む