先に、いちばん大事なこと
急ぐ必要があるのは「搬送先」だけです
亡くなってから24時間を経過した後でなければ火葬はできません(墓地、埋葬等に関する法律3条)。つまり、どのような場合でも安置の時間は必ず発生します。
ですので「今すぐ葬儀の内容まで決めないといけない」という前提そのものが、実は正しくありません。葬儀の形式・規模・プランは、ご親族が揃ってから決められます。死亡届も7日以内(戸籍法86条)で、当日中である必要はありません。
搬送する前に、3つだけ確認してください
国民生活センターが公表した相談事例3件は、いずれも搬送の段階で選択肢が狭まっています。搬送前の数分が、いちばん効きます。
① 葬儀を別の会社に頼む場合、搬送費はいくらになるか
搬送を依頼することは、葬儀を契約することではありません。公表事例では、キャンセルを申し出たところ「葬儀をしないのであれば搬送費用として20万円を請求する」と言われたケースがあります。同じ事例で、その葬儀社の広告自体には「お打ち合わせのうえ、ご依頼いただけない場合は搬送にかかった費用はいただきません」と書かれていたことが後から分かっています。
② 依頼する範囲を「搬送と安置だけ」に限定する
病院・施設で紹介された葬儀社に、その場で葬儀まで決める必要はありません。紹介を断ることも、搬送だけを依頼することもできます。
③ 病院にいつまで置けるかを聞き、その時間で搬送先を決める
安置の時間は必ず発生します。「すぐに」と言われても、搬送先を決める時間は取れます。
出典:国民生活センター「依然として多い葬儀サービスの料金トラブル」令和8年6月3日(事例1〜3)/墓地、埋葬等に関する法律3条
逝去から納骨までの流れ
各段階に、費用 決めること 期限・法令 を添えました。赤い丸の段階はその場で決めを迫られやすいところです。
ご逝去・死亡診断書の受け取り
病院・施設で医師から死亡診断書を受け取ります。死亡届と一体の用紙です。複数枚コピーを取っておくと、後の手続き(保険・年金・給付の申請)で楽になります。
搬送先を決める・搬送
病院から自宅・葬儀社の安置室・民間の安置施設へお運びします。ここが最大の分岐点です。依頼の範囲を「搬送と安置だけ」に限定でき、葬儀社は後から選べます。搬送先は費用と、面会できるかどうかの両面で選んでください。
ご安置
火葬までご遺体をお守りします。安置料とドライアイスは日数で増えます。そしてその日数を決めるのは火葬場の空き状況で、ご遺族の側では選べません。都市部では火葬待ちが数日〜1週間以上になることがあり、友引の休場や年末年始でも延びます。
確認すること:プランに何日分が含まれるか/超過時の1日単価/火葬の予定日。措置命令の記録では「火葬式・一日葬=3日、家族葬=4日」という設定例が確認されています。
葬儀社との打ち合わせ・契約
金額がいちばん動く場面です。形式・規模・祭壇・棺・式場・飲食・返礼品をここで決めます。国民生活センターは「打ち合わせは親族や第三者など複数で行いましょう」としています。これは公的機関のアドバイスなので、遠慮せずに使えます。
その場で即決しなくてよいこと:祭壇・棺・骨壺のグレード、飲食と返礼品の数量、初七日をいつ行うか。
死亡届の提出・火葬許可証の受け取り
市区町村の窓口へ死亡届を提出し、火葬許可証を受け取ります(葬儀社が代行することが多い手続きです)。
★市民葬・区民葬(規格葬儀)は、葬儀社を決めた後では間に合わない場合があります。自治体が価格を取り決めた制度で、見積を判断する中立の物差しになります。→ 公的支援と窓口
納棺
お身体を清め、旅立ちの支度を整えて棺にお納めします。化粧納棺・湯灌など、別料金のサービスが用意されている場合があります(66,000円・99,000円といった公表例)。
通夜・通夜ぶるまい
一日葬・火葬式では行いません。飲食は人数×単価で動きます(通夜ぶるまい1人前3,300円〜の公表例)。
葬儀・告別式 → 出棺
宗教者をお招きする場合、お礼(お布施等)は葬儀社の料金に含まれるのか別途なのかを書面で確認しておきます。このサイトは金額の評価をしませんが、支払う相手・タイミング・現金かどうかは確認しておく価値があります。
火葬・骨上げ
★火葬料金は葬儀社が決める金額ではありません。火葬場の運営者が公表しているので、見積の中で唯一、公式サイトと1対1で答え合わせができる費目です。公営か民営か、住民か住民以外かで大きく変わります。
火葬済の火葬許可証は必ず受け取って保管してください。納骨のときに必要です(墓地埋葬法14条)。→ 火葬料金の実例表
初七日法要・精進落とし
火葬当日に繰り上げて行うことが一般的になっています。別日に移すと追加料金が発生するという公表例があります。
請求書の受け取り・お支払い
当初の見積書と1行ずつ突き合わせてください。増えた行・単価が変わった行を特定し、それぞれの理由の説明を求めます。公表事例では、請求書にだけ「マイクの使用料、花や仏具の搬入搬出代、仏衣を着せるための費用」が現れたケースがあります。
公的な給付の申請
申請しなければ1円も出ません。葬祭費(3万〜7万円程度)・埋葬料(5万円)・葬祭扶助・労災の葬祭料など。申請できるのは「葬祭を行った方=喪主」で、実務上は領収書の宛名が誰かで受け取れる人が決まります。
四十九日法要・納骨
納骨には火葬済の火葬許可証が必要です。寺院墓地に納骨する場合は、受け入れの条件を事前にご確認ください。菩提寺がある場合、葬儀の日程・形式を決める前に相談しておくと、この段階で困りません。
期限のある手続き(まとめ)
| 期限 | 起算日 | 手続き | 窓口 |
|---|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡の事実を知った日 | 死亡届の提出(→火葬許可証) | 市区町村の戸籍窓口 |
| 死後24時間経過後 | 死亡時 | 火葬が可能になる(墓地埋葬法3条) | — |
| 2年 | 葬祭を行った日の翌日 | 国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費 | 市区町村の国保・後期高齢者医療の窓口 |
| 2年 | ★死亡した日の翌日 | 健康保険の埋葬料 | 健保組合/協会けんぽの都道府県支部 |
| 2年 | ★埋葬を行った日の翌日 | 健康保険の埋葬費 | 同上 |
| 2年 | ★死亡した日の翌日 | 労災の葬祭料・葬祭給付 | 勤務先を管轄する労働基準監督署 |
| 2年 | 火葬を行った日の翌日 | 東京23区の火葬料助成(2026年4月開始) | お住まいの区の担当課 |
| ★葬儀の前 | — | 生活保護の葬祭扶助 | 福祉事務所 |
「その場で決めなくてよいこと」の一覧
搬送や契約が済んだ後でも、これから決める項目は持ち帰って相談できます。
| 項目 | いつまでに決めればよいか |
|---|---|
| 祭壇・棺・骨壺のグレード | 打ち合わせの場で即決する必要はありません。グレード別の価格表を一覧で見せてもらってから選べます |
| 飲食(通夜ぶるまい・精進落とし)の数量 | 参列者数が固まってから。確定の期限を聞いてください |
| 返礼品の数量 | 同上。会葬返礼品と香典返しが二重になっていないかも確認を |
| 初七日をいつ行うか | 火葬当日にまとめるか別日にするか。別日は追加料金の例あり |
| どの葬儀社に頼むか | ★搬送を依頼した会社に、そのまま葬儀を頼む義務はありません |